集合住宅での野良猫の餌付けは違法として、地裁立川支部から13日、餌付けの差し止めと住民への204万円の支払いを命じられた将棋の元名人、加藤一二三(ひふみ)九段(70)に動物愛護から多くの賛否の声が上がっている。

[共生へ取り組み、虐待も増加]
都動物愛護相談センターに寄せられる動物に関する苦情は約5320件(08年度)だが、そのうち猫に関するものは2911件と約半数を占める。しかし、前年度の4889件からは半減している。依然としてトラブルは絶えないが、減少傾向について松井政友・指導監視係長は「動物も含めて自分たちの住む街をどうしたいのか。個人でなく街づくりの視点で問題に取り組み始めた成果では」と分析する。
苦情の対処は各自治体があたる。荒川区は09年4月、付近住民に迷惑を及ぼす餌やりに5万円以下の罰金を科す条例を施行。また豊島区では06~07年に「人と動物の共生会議」を設置し対策を練った。担当者は「法律の規制がないので、猫が増えないよう関係者にお願いするのが精いっぱい」と実情を訴える。
しかし、一方で野良猫の不妊治療策を採用し、野良猫を増やさない取り組みを実施する自治体も増え、千代田区では数自体が大幅に減少したとの報告もある。
こうした共生への取り組みが進む中で動物への虐待が増加している。環境省の調べでは、08年の動物愛護管理法違反件数は52件で10年前の約6倍に増えた。今年に入っても世田谷区や八王子市で、刃物で傷つけられたり熱湯や薬品をかけられたとみられる猫が相次いで見つかっている。世田谷区で見つかった猫を保護した女性は(53)は「被害を受けた猫は人慣れしていない猫ばかり。餌でおびき寄せ、食べているところに上からかけたとしか考えられない」と憤る。
八王子市の動物愛護団体「ねこちゃん協議会」の女性運営者(67)は「野良猫は人から捨てられた場合が多く、猫に餌やりをする人もある意味では被害者。ただ、餌をやることには責任が伴う。不妊手術をしたり里親を探すなど、野良猫を増やさない努力が必要」と話している。(yahooニュースより

加藤元名人の敗訴確定へ=控訴見送り―野良猫餌やり訴訟
5月26日15時38分配信 時事通信